2009年公開・監督:ピート・ドクター ボブ・ピーターソン 音楽:マイケル・ジアッチーノ
ピクサーにハズレ無し
ディズニー・ピクサー制作の長編アニメーション。実は私はアニメーション好きですが、ピクサーでは「トイ・ストーリー」とか「ファインディング・ニモ」とか見てないんです(今度見ておきます)。
この「カールじいさんの空飛ぶ家」も題材的にあまり興味がなく見ていなかったのですが、やはりピクサーアニメにハズレ無し、面白かったです・・・が、本当はカールの妻エリーの思い出シーンに感動してました。表情やスチール写真が素晴らしく良くて目が潤みます。
考えてみたらアニメーション作るのに何年もかけて、ワンカットワンカット精査するんだから、レベルが高くて当たり前、もう芸術作品ですよ。
冒険のお話
ストーリーは、冒険家に憧れたカールとエリー。結婚して歳を取り、エリー亡き後、再開発の都会から家ごと脱出して、エリーと夢見たパラダイスの滝の隣に家を持っていくのだが、そこには子供の頃の冒険家ヒーロー・マンツが居た・・・というお話。
とにかくエリーが最高。出番は少ないけど、凄く印象的で、すべての冒険のちからの源はエリーとの思い出から来ています。前歯の無いやんちゃなエリーからおばあちゃんになったエリーまで、全てが魅力的で、エリー単独のお話を作って欲しい。
サウンドトラック
音楽:マイケル・ジアッチーノ
正統派の映画音楽作曲家です。古くはミクロス・ローザ、巨匠ジョン・ウィリアムズに続く音楽家として私の一押しはマイケル・ジアッチーノです。
過去の作品は「Mr.インクレディブル」新メンバーでリブートの「スタートレック」リブートの「猿の惑星」「ジュラシック・ワールド」スターウォーズのスピンオフ「ローグ・ワン」など。最新作はまたまたリブートの「BATMAN」です。
「カールじいさんの空飛ぶ家」はメインテーマがフランスチックな3拍子の音楽。マイケル・ジアッチーノの良いところは、柔軟にいろんな音楽を扱うし、レベルが高くまとめる事ができます。もちろんオーケストラは得意だから、おしゃれな街並みワルツの雰囲気から一気にフルオーケストラに持っていき、またお洒落にボサノヴァに持っていく、シームレスな楽曲を違和感なくやれるのが凄い。
こういう音楽作りは、それぞれの音楽に精通してないと、例えばジャズ風な音楽でもコード進行だけなら誰でも書けるけど、ミュートブラスのセンスとか、弦の重ね具合とか、頭が柔らかくないとできません。
「カールじいさんの空飛ぶ家」はいろんな音楽が入っていますが、音色の統一感はバッチリです。ライトな音楽からフルオーケストラまで揃えるために、あえてフルオーケストラはリバーブ薄めで、収録スタジオの響きだけ(ではないけど)でまとめてます。これはしっかり演奏しないと、演奏の下手がバレるレコーディングなので、メンバーは相当優秀だったのだと思います。
前半、カールとエリーが出会って、結婚して家を持ち、悲しいこともあり、年老いてエリーが亡くなってカールが残るまで・・・映像と音楽だけですが・・・もう、これだけで1作品のような完成度。感動します。しかも映画のジャンルとして基本は明るい曲なのです。それで悲しみまで伝えなければなりません。ピアノソロ(ハープも絡む)は涙が出ます。いやー素晴らしい。
もろクラシックの音楽も取り入れてますが(ビゼー作曲カルメンより)、サントラ盤には入っていないんだよなぁ・・・たぶん演奏は同じだと思うんですが。
雷雲のシーンの音楽は、おそらくグローフェ作曲の「大峡谷」の第5曲・”豪雨”が頭をよぎったに違いない(笑)。
とにかく素敵な音楽、言い忘れましたが2010年度アカデミー作曲賞受賞作品です。
総括
マイケル・ジアッチーノの実力は、彼の劇場映画1作目の「Mr.インクレディブル」から感じていて、ずっと注目していたのでよく解っていますが、やっとアカデミー作曲賞取れてほんと良かったと思いました。その後の活躍も目覚ましいですしね。
この「カールじいさんの空飛ぶ家」は主人公がおじいさんなので懐かしい音楽で構成されていますが、ほんと良い曲なんだよな〜。
ちなみにAppleMusicでサントラ盤も聞けますが、なんとスタジオ録音の映像やインタビュー(英語です)も聞けます。取り上げられているシーンを見ても、私には伝わったなと思いました。良い仕事をしましたね。
そうそう、この映像でマイケル・ジアッチーノが、なんとなく弾くピアノの和音がFmaj7。どうりで私と気が合うわけだ(笑)。やっぱりFmaj7だよね。
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