2013年公開・監督:アルフォンソ・キュアロン 主演:サンドラ・ブロック 音楽:スティーヴン・プライス
体験する映画
この映画の出演者は、サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニーの2人だけ。映像には他の何名かも写りますが、演者ではありません。そしてほとんどのシーンが宇宙空間です。ずーっと浮いているのです。
このレベルの映画になると、どうやって撮影したのかさっぱりわかりません。きっとめちゃくちゃ大変だったんだろうと思います。常に浮遊して、ぐるぐる回って、上も下もわからない。変な話、出演者が2人で助かったんじゃないかな(笑)。
ストーリーは単純で、宇宙で作業しているクルーに破壊された衛星の破片が襲いかかり、シャトルは破壊され宇宙に取り残される。主人公は残った衛星を探し、操縦して地球に戻るというお話。
とにかく映像が凄いので、この映画は見て体験する映画です。この映画こそ、記事を何回読んでも、何回聞いても、見ないとわかりません。”百聞は一見にしかず”の映画です。
サウンドトラック
音楽:スティーヴン・プライス
2014年度アカデミー作曲賞受賞音楽
基本的にシンセサイザーを中心にサンプリングオーケストラ(だと思う)を加えて、フィルターをたっぷり使い、ダイナミクス系エフェクターや思い切った音楽の位置の動きなど、ありとあらゆる技を使った音楽です。映像がパンすると音楽までパンさせたり、普通の映画では絶対やらない事をやっています。
導入は音楽かノイズかわからない音で始まり、ロングトーンがうねるだけの、とても音楽とは思えない音楽(音楽だよね)、宇宙空間らしいといえば、らしい音楽です。フィルターのかかり具合が風の音に聞こえる作りの曲や、非常にノイジーで煩いほど盛り上がってカットアウトする(何回も出てきます)、もう音楽という名の効果音ですね。
そして静寂。そもそも宇宙には音がないので無線機の音しか聞こえません。音楽のあるところと無いところのギャップが面白いです。
アクシデントのシーンは刻みの細かい弦と力強いブラス系、そしてシンセサイザーなどを組み合わせた音楽です。カッコいいというよりホラー系な音楽で、宇宙空間の恐ろしさを表現しています。
とはいえ主人公が困難に立ち向かう場面では、感動的な作りの音楽になってますが、やはりエフェクターのかかりが強い、音楽レベルも音色も16分音符で変化する、とてもノイジーな作りです。
地球への突入シーンは感動的なオーケストラ中心の作りになり、女性コーラスも入り、宇宙から地球へを印象つける音楽です。とはいえ着地シーンはまたまた効果音的な音楽になるのですが。
最後に地面に立ち上がるシーンは実に感動的です。オーケストラとヴォイスで盛り上げます。最後にちらっと聞こえるオルガン・・・「2001年宇宙の旅」のツァラトゥストラはかく語りきをイメージさせます。絶対狙いだと思う。
総括
こんなこと今書いてもしょうがないんだけど、IMAXシアターで見てください。いや、体験してください。
この映画はテレビやDVDでみても、100%の素晴らしさは味わえません。私は2度IMAXシアターで見ましたが、もうアトラクションです。宇宙空間に居るかのようです。立体的な音響でレシーバーの音が手の届く位置に聞こえたり、音のないはずの宇宙の音響も音楽も、「体験」するという言葉がしっくりきます。
昔あったセンサラウンド方式の音響や、3D映画など、そのときにしか体験できない映画は、無理をしてでも行くべきです。人生で1度きりの経験になる可能性がありますから・・・。
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