選曲の料金

雑談

今回は禁断の話題、選曲の料金について書いてみましょう。まず前提となるのは、この業界はあまり横つながりがありません。ですから料金形態もそれぞれ独自に確立していますから、めっちゃ安いところも、めっちゃ稼いでいるところもあるでしょう。ルールを崩すとまずいので、バラせない部分はご容赦を・・・。

昔というのは今から30年以上前、私が仕事をし始めた頃です。その前はちょっとわかりません。

フィルム作品

当時はまだまだフィルムで撮った作品が多く、記録映画やテレビ番組、アニメ、ドラマ等はフィルムで撮影していました。(殆どが16mm作品だけど)記録映画とは、建設会社などがビルや橋などを作る大プロジェクトをフィルムで記録したもので、〇〇建設、〇〇鉄鋼など大手企業の映画などです。

気になるお値段は?

一般的に映画は「巻」で計算していました。「巻」とはフィルムが巻かれた状態で、1巻で約10分のまとまりでした。ですから20分だと2巻物、30分だと3巻物と表現していました。料金は1巻あたり3万円が相場で、20分なら6万円、30分なら9万円です。ざっくりしていますよね。

Q:1

では質問です。3巻物の作品で、2巻目の10分から20分には音楽が1曲も入らなかった場合の料金はいくらでしょうか。

A:1

答えは9万円。使用した音楽の数に関係なく「巻」✕3万円で計算されます。つまりめっちゃ音楽使っても同じ料金です。

ビデオ作品

企業VPや店頭PR、教育ビデオ等、テレビ番組以外のビデオ作品の料金は20分6万円が基本で、その数字を元にざっくり計算していました。ですから40分なら12万円、60分なら18万円ですが実際は40分で8〜10万円、60分で12〜15万円でした。

Q:2

では3分の作品はいくらでしょうか?1/6だから1万円?

A:2

答えは4〜5万円。短いから安いという計算にはなりません。人件費や諸経費を考えても1万円じゃ仕事になりませんよね。

CM

テレビCMは正直値段に幅があります。作品内容やオンエアの時間帯、使用期間など簡単には決められないのですが、選曲で対応するCMは15秒で6万円からが基本でした。

アニメやドラマ

フィルムのところで1巻3万円と書きましたが、レギュラーで仕事をするアニメやドラマは別料金です。制作会社によって料金もまちまちで、先方から提示されて了承する場合がほとんどです。だいたいの相場は30分番組で5万円からといった感じです。

バブル期

日本がお金持ちだった頃の料金

御存知の通り(もしくは噂通り)バブル期の業界はお金に困ることがない制作体制でした。ではその頃の選曲のお値段はどうだったのでしょう。

基本は変わらない

基本的に料金は同じです。そりゃそうですよね、バブルだから料金上げますとは言えません。が、料金交渉で揉めなくなったのと、仕事量がめっちゃ増えたので料金を上げる必要が無かったのです。むしろ仕事をどう断ろうかと考えていました。多少強気な料金にしてもOKが出てしまうので・・・。

バブル期オプション

ただ、バブルならではのオプションもたまにありました。打ち合わせから仕上げまで時間が無い作品では「特急料金」といって数万円加算されたことがありましたし、同じ音楽構成、同じ曲で、全体コピーみたいな仕事でも2本、3本と加算されて、実質1作品しかやって無くても数倍の料金になるとかです。

バブル崩壊後

事務的な流れ

ところで、料金が入金されるまでの事務的な流れはどうなっているのでしょうか。一般的に普通の会社と同じように料金を決めて、請求書を出し入金されるのは一緒ですが、かなり簡略化されています。事前見積提出などは殆どないし、納品書、領収書などもほぼ書きません。プロデューサーとの料金交渉は作業後が多いですから、ちょっと弱い立場にはなるのですが、口頭で金額は決定し、請求書を送り、先方の支払い条件に従って入金されます。支払いは早いところで翌月末、一般的に翌々月末、あとは70日や90日という会社もあります。バブルの頃一番酷かったのは、10万円を超える支払いは手形、しかも手形発行までに3ヶ月、手形が落ちるまでに3ヶ月。入金されるまでに6ヶ月待たせる会社もありました、が、当然潰れました。

倒産ラッシュ

先程書いたように、入金までに時間がかかるのがネックで、2ヶ月以降でないと相手の会社の状況がわかりません。なので2ヶ月待って入金されず、問い合わせて連絡取れず・・・といった事例がバブル崩壊後には続出しました。私も取引先が数件倒産して、裁判所にも行きましたが、400万円以上回収不能でひどい目にあいました。

気になるお値段は?(2度目)

バブル期は基本変わりませんでしたが、バブル崩壊後は徐々に下落傾向になりました。90%以上の確率で「申し訳ないんだけどお金が無くて・・・次回穴埋めします」と言われ、穴埋めはほぼされませんでした。一度下げると、そこが基本になるので戦いの日々でした。

現在

さてさて現在の選曲料金ですが・・・言えません(笑)なぜかと言うとかなり細分化されていて、昔のような基準があって無いようなものだからです。以前との違いは、レギュラー作品以外は、作品の長さより、使用楽曲の数や使用媒体など細かく計算するようにはなりました。ざっくり幾らと言えないけれど、むしろこれが当たり前という気もします。

ま、料金に関しては「バブル!カムバーーーーーーーック!」ですね。

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