私は、ふだん美容院で髪を切るのですが、美容院に行くといつも「選曲家と美容師って似てるよな」と思ってしまいます。もちろん全然違いますよ、選曲家は音楽演出が仕事、美容師は髪型を仕上げるのが仕事ですからね。
クライアントの気持ちがわかる
椅子に座るとまず「クライアントやディレクターって、こんな気分なのかな」と感じます。自分の作品(髪の毛ね)をどう仕上げてくれるのだろうか、イメージ通りになるんだろうかと、ちょっと不安です。選曲の場合は事前に打ち合わせですが、美容師とは現場で打ち合わせです。「ここがこうで、こんな感じで」と説明してもちゃんと伝わってるんだろうか不安です。こだわりポイントも説明しますが、理解しているのか不安です。あと迷いもあるんです。カラーの色とか、どこまで切り込むかとか、パーマが良いかとか、相談したいし納得できる答えが欲しいのです。「わかりました」と必ず言われますが、本当にわかってるんだか(笑)。
美容師の気持ちがわかる
普段は美容師側の立場です。打ち合わせで作品を説明されて、音楽プランを話し合い、イメージや拘りどころを聞き、相談もされたりします。はたして私はどこまで理解できて「わかりました」と返事をしているんでしょうか・・・。「7割理解したから、後は作業しながら考えよう」とか「言ってることはわかるけど、やってみないとわからないな」とか思ってることあるよね(笑)多分美容師もそう思っているでしょう。
似ているポイント
ではどこが似ているか書き出して見ましょう〜
担当者が決まっている
プロデューサーやディレクターが選曲家を選ぶときは、いつもやってるポスプロ会社や選曲家に発注することが多いですが、美容師も同じ人に頼む場合がほとんどです。コミュニケーションが取りやすいとか、センスが解ってるとかが理由ですね。
仕上げる元がある
選曲家には映像があり、美容師には髪の毛があります。素材を加工する(なんか言い方へんだな)あたりも似ています。
イメージを聞いて仕上げていく
選曲も美容も、ディレクターやお客様のイメージを具体化していく作業です。イメージを伝えるためにできるのは、サンプルとなる音楽を聞かせたり、写真を見せることぐらいで、どう仕上がっていくかは選曲家や美容師にかかっています。
素材とイメージのギャップ
「番組:情熱大陸のようなイメージに仕上げたい」と言われても、内容はテレビショッピングだったり、「キムタク見たいな髪型に」と言われても、顔や頭の形が違ったりすると、どう頑張っても理想通りにはならないことがあります。仮に本物の情熱大陸の音楽を使っても、完全にキムタクの髪型にしても、印象が違うので同じにはならないんですよね。どこかをディフォルメしたり、アレンジしたほうが印象は近づくのですが、あくまで似て非なるもの・・・納得していただくのが大変です。
”普通”は基本
とりあえず言われたとおりに仕上げたとして、それは当たり前であって、何かセールスポイントがないと満足していただけません。あそこのシーンの音楽は攻めた感じが良かったとか、モミアゲ部分をツーブロックにしてカッコよくなったとか、新しさ、流行り、センスなど、何かプラスアルファを提供することが、仕事の継続に繋がります。
拘りを理解するのが難しい
ディレクターにしろお客様にしろ、本人しか解らない拘りがあったりします。このシーンは違う感じがするとか、髪型の左右のバランスが気になるとか、客観的に見ても「どこが気になるの?」とよくわからなかったりします。そうすると手探りの作業になってしまい、自分では納得できるジャッジができないのです。とはいえ仕上げなければいけません。こういう手探り作業はほんと辛いですね。
などなど、いろいろ書き出しましたがどうでしたか。私が一番似ていると感じるのが、「いろんな解答がある世界でのイメージ共有と再現性(論文のタイトルみたい・笑)」です。あくまで顧客のイメージ最優先だけど、イメージ通りにならなくても、創造性でカバーして満足感をあたえるのが仕事。選曲家と美容師、私は似ていると思いますよ。
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