DENONオープンリール・テープレコーダー

機材のお話

オープンリール・テープレコーダー

DENON、さてどう読みますか?デノン?デンオン?正解はデノンです。おい、ちょっと待て、業者もみんなデンオンって言ってるぞ!と言ってるあなた。20世紀の人です。なぜならメーカーが正式に2001年からデノンと読みますって宣言しているからです。理由は、海外でどうしてもデンオンと発音してもらえなかったからとか・・・。私的には「日和ってんじゃねーよ!」と言いたい。ずーっとデンオンって言ってきたのに今更デノンって、過去を否定されてる気分ですよね。

さてこのDENONのオープンリール・テープレコーダーは、スタジオの定番中の定番テープレコーダーでした。私は、大変失礼な事を書きますが、当時このDENONが無いスタジオはちゃんとしたスタジオでは無いとさえ思ってました(今は思っていません)。とにかロクミリ作業において、こんなに使いやすく安心できるデッキはあるだろうかと思うくらい素晴らしい名機です。良いところをひとつひとつ上げていきましょう。

1.作りがフラットである。

イラストを見てもらうとわかりますが、机の上でテープが回ってるようなフラットな作りです。音楽編集作業は切り貼り作業です。平らな場所での作業が一番しやすいのです。作業の一環として再生ヘッド上のテープにデルマで印を付けるとき、見やすさ、書きやすさが素晴らしいのです。スタジオは薄暗い場所が多いです。なのでこの見やすさは作業する上で重要なのです。また、この机の様なフラットな広さは、台本を置くにも、ハサミやテープを置くにも、落ちることが無いのでとても良いのです。

2.ボタン大きさ、配置がベスト。

ロクミリを叩いてポン出し(テープデッキの再生ボタンを押してスタート)するとき、目はスクリーン(モニター)を見ています。パンチやタイムコードを見て叩くので手元は触感だけです。なのでボタンはある程度大きい方が間違えませんし、配置も、それぞれのボタンの間隔が広いほうが安全です。このボタンの配置が絶妙に良いのです。一般向けデッキは基本的に人差し指だけで操作しますが、我々の作業では小指以外全ての指を使います。(ピアノ弾ける人なら小指使うかも)なのでボタンの間隔が狭いと作業しづらいのです。また押し込んだときのストロークもちょうど良く、機敏に反応してくえます。

3,テンションの具合が気持ちいい。

多少の個体差はあるかも知れませんが、テープ編集時のテープを引っ張るときの抵抗具合がちょうど良いのです。キツすぎると重いしテープに負担がかかります。緩すぎると引っ張ったとき余計にテープが出てきます。DENONは、そのテンションが最高なのです。これって相当実験したんでしょうか、たまたまなのでしょうか、まるでオープンリールを知り尽くした名人が作ったとしか思えません(たぶん名人が作ったのでしょう)。

4,必要なものは全て実装している。

カウンターが正確、これ重要です。よく、なんとなくの目印的なアナログカウンターが付いてますが(SONYの707もそうでした)全く意味ないし、結局ストップウォッチで計るしかないのですが、DENONはテープ頭でゼロにして、テープ終わりまで早送りしてカウンターのタイムを読むとほぼ正確な時間がわかります。なので実時間の確認が要りません。また録音時に必要な1khzの基準信号も内蔵してるし、録音再生ともにメインのヴォリューム以外に左右のバランスも微調整できます。LINEオン・オフのスイッチも有り、出力の選択をこちらでできるのも嬉しかった。正面にフルレンジのスピーカーがステレオで配置されているのも最高。これがないと脇のちっちゃいスピーカーやヘッドフォンでの作業になり、ちとストレスになります。あとオプションだけどバリアブル(テープ速度を変える装置)が付いている場合が多く、若干の時間調整によく利用しました。

それ以外にも、テープの掛けやすさ(これめっちゃ重要!)逆回転のしやすさ、ループ作業も余裕のスペースなど上げればきりがありません。もうこのデッキのお世話になってないポスプロスタッフは居ないでしょう、後期になって全体的にデッキのレベルが上がってきましたが、おそらくDENONを意識したメーカーが多いと思いますし、それほど素晴らしいデッキでした。もし今後作業用に6mmデッキが必要ならDENONをお薦めします(タイムマシンで過去に戻らないとね)。

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