選曲は先か後か

選曲について

ヴォーカルが入る楽曲には、作詞が先で作曲が後の場合も、作曲が先で作詞が後の場合もあります。それぞれ詞先、曲先と言います。選曲と映像編集との関係も、ほとんどが映像編集が先で選曲が後なのですが、稀に先に選曲してその曲に合わせて映像編集する場合があります。ミュージックビデオ以外でもです。作品のオープニングやメインタイトルを音楽に合わせて映像編集する人は多いですが、ディレクターの中には、全楽曲を先に決めてから映像編集する人も居ます。その場合、スタジオ作業はほぼナレーション録りとミックス作業になりますから選曲家の作業は楽です(笑)が、そのかわり事前のサンプル曲が増えてしまい、結局スタジオ前に苦労する事になります。で、肝心の作品の仕上がりはどうなるかというと、これがどんな楽曲でも実に映像にマッチするんです。何故でしょうか。

映像編集が先で選曲する場合、選曲家が何を考えるかと言うと、作品全体の音楽構成と雰囲気合わせ、そして「映像編集のリズムと楽曲のリズムを合わせる」事を考えます。ドラムのリズムの事ではありません。(まぁそれも無くはないですが)クラシックや環境音楽など、ビート感がない曲でもです。映像のリズムとは、編集されたシーンのカットの繋がりや、ズーム、オーバーラップなどから感じるリズムの事です。良い映像編集は、このリズムが一定している場合が多いので、リズムの合う楽曲を探しやすいのです。感覚的なものなので表現が難しいのですが、編集されたシーンのリズムと音楽のリズムが上手く合うと、映像と音楽との相乗効果で、視聴者が引き込まれるような作品になります。

先に選曲をして、音楽を乗せて映像編集すると、自然にカットもズームもオーバーラップも音楽のリズムに合ってきます。(でないと気持ち悪いので)なので感覚的に気持ちが良い作品に仕上がるのです。後から音楽を合わせるよりも簡単に作品のリズムを作ることができます。私が知ってる某映像デレクターも、事前に全楽曲を決めて映像編集にはいるのですが、仕上がった映像は、音楽とリズムの合った実にセンスの良い作品になっています。

選曲が先でも後でも、どっちが正しいわけではなく、どちらのアプローチもあるのです。まぁ、後から選曲してこの効果を出すのが我々の技術でもあるのですが、作品によっては最後までしっくりこない事もあります・・・とはいえちゃんと仕上げますよ(笑)プロですから。

ディレクターや映像作家のみなさんも、映像編集に行き詰まったときには、音楽を先に決めて、音楽に合わせて映像編集してみてはいかがでしょうか。普段とは違った世界観を表現できるかもしれませんよ。

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