音楽ライブラリー

選曲について

選曲家に必要な必須アイテム、それは音楽ライブラリーです。

ドラマやアニメの選曲の仕事だとほぼ必要は無いのだけれど、たまーに「フランスをイメージする曲はないですかねぇ」とか「クラシックの曲使いたいんだけど」とか「デパートのシーンにBGM付けて」とか、作曲家が作っていない音楽を発注されることがあります。もちろんその曲だけ他に発注しても良いのですが、ドラマやアニメによっては作曲家の参加しない、全曲ライブラリー選曲という仕事もあります。ですから仕事のジャンル関係なく選曲家に音楽ライブラリーは必須です。

この音楽ライブラリー、昔はレコードでした。ですから古いポスプロの方は選曲の事を「レコ選」などと言ってました。(30年前にはまだ居らっしゃいました。)実際スタジオでレコード直接かけて録音したり、音楽の長さを調整するため?にアームが2つあるレコードプレイヤーもありました。ま、多くは一旦オープンリール(ロクミリ)に録音して作業するのですが、録音するときに入るスクラッチ音(レコードのパチパチ)や針飛びには困りました。なのでレコード盤に水を垂らし針を浮かせてスクラッチ音対策したり、録音した後でロクミリ編集でスクラッチ音カットしたり、とにかく手間がかかりました。

それから6mmテープで提供されるライブラリーもありましたが、すぐにCDで提供されるようになりました。最初CDで提供されたときは「うおおお」とテンションが上がりました。だってあのスクラッチ音から開放されるわけですからねぇ。ですから四谷にあった某ライブラリーメーカーまで行って試聴してきました。が・・・初期のライブラリーは提供状態こそCDでしたが、中身はカセットテープから録音したんじゃないか?と思うほど音質レベルの低いものでした。まぁライブラリーとして楽曲の権利をクリアできるものが限られたんでしょう・・・よく集めたとは思います。(しかしリバーブ有り、無しとか苦肉のバリエーション増やしはいかがなものかと思いました。)とにかく選曲が格段に楽になったのは素晴らしい事でした。こういった音楽ライブラリーのCD提供は今でも行われています。

現在は配信で提供される事も増えてきましたから、もう物理的に手でライブラリーを触ることができません(笑)

音楽ライブラリーは海外で制作されたものが多く、おもに日本の代理店を通じて提供されますが、もちろんmade in Japanの音楽ライブラリーもあります。ただ海外のライブラリーは提供先がワールドワイドであるため、オーケストラも本物であったりとお金がかかっています。制作規模が大きいんですね。楽曲の数も多く、日本人とは違う音楽センスも新鮮ですが、使えね〜と思う曲もたっぷりあります。正直100曲聞いて1曲も使えないなんて事はザラです。作品のジャンルによっては何千曲もあるライブラリーが全くやくにたたない事もあります。選曲家なら誰もが経験するジレンマですね。その点日本製のライブラリーは海外製にはない「和」な音楽も揃ってますし、日本で流行ってる音楽や和製アニメも熟知しているので必須です。

でも最も大切なのは権利関係です。海外のサイトからダウンロードした曲を「たぶん著作権フリーだろう」と使って、申告ミスで訴えられて何百万円(日本円換算)も請求されたらアウトですからね。正直プロの世界でも行き違いはあります。権利は頻繁に更新されますから、権利関係に弱い日本人(私を含め)は要注意です。気をつけましょう。

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