音響効果

選曲について

音響効果には大きく2種類あります。音楽を付ける作業と効果音(SE・サウンドエフェクト)を付ける作業です。

効果音は皆さんご存知のように、足音とか自動車が走る音とか、いわゆる現実音(SF映画などの架空の音もこのジャンル)の事です。アカデミー賞でも「音響賞」があるくらいだから、いかに重要かはお解りですね。日本では音効さんと呼ばれたりします。効果音はドラマ、アニメ作品には必須で、とくにアニメは、セリフ以外の全ての音は効果音と音楽です。ですから効果音を付ける作業はかなり大変です。ライブラリー(効果音にもライブラリーがあります)から選んだり、実際に録音したりして集めた素材を編集・加工して映像に貼り付けていきます。しかも最近は音もマルチトラックの時代ですから右・左・前後と空間も意識した作り方をしなければなりません。昔のモノラルの頃に比べると作業も複雑になっています。

この作業と並行して行われるのが選曲作業です。効果音と音楽の違いはあっても、映像に合わせて編集・加工していくことに変わりはありません。ただ殆どの場合、音楽は2トラック(ステレオ)作業ですから空間を作り込むような作業はありません。もちろん音楽もマルチトラックの場合もありますが、音楽制作時に作業は済んでいます。

こうして比べると効果音も選曲も作業は似ています。ですから両方を一つの会社で(もしくは一人で)行うこともあります。ドラマやアニメ以外だと、選曲・効果を一人で行うことの方が多いです。例えば企業PR映像(VP)案内映像、記録映像などは音響効果の殆どを音楽が占めるので選曲家だけで作業を行います。現実音も要求されたりしますが、そのためだけに効果音専門の人を雇うことは、ほぼありません。ところが場合によって選曲家の範囲を超える効果音を要求されることもあり、効果音担当者を付けたほうが良いのではと助言をしても、いやいや音楽の方が大切だからと変な理由で拒否されたりします。(ま、実際は予算の問題ですけどね)そんな場合は必死で用意しますが、どうしても足りない効果音は自腹で発注します。で、予算交渉するというわけです(笑)。

似ているのは作業だけではありません。扱う音も似ています。例えばファンファーレ。選曲、効果音、どちらの担当でしょうか・・・もちろん厳密に分かれているわけではありませんが、本格的なファンファーレは選曲、ギャグっぽいファンファーレは効果音と、なんとなく棲み分けがあります。ミュージックエフェクト(ME)、楽器をつかった効果音も、どちらが扱うかは打ち合わせのとき決めたりします。

あとは戦い(笑)。アニメなどもそうですが盛り上がるシーンは効果音も音楽も両方が主張します。効果音も力を入れて作り込むし、音楽も狙った付け方をします。でミックス作業でぶつかる訳です。ここは効果音のレベルを上げて・・・いやいや音楽のレベルを上げて・・・みたいに。結局は監督が判断するのですが、両方ぶつけてミックスする場合も多いですが、こだわりがあると、なんか納得できなかったりします。普段仲の良い?選曲と効果音もちょっとシコリが残ることもあります。まぁ良いことですよね、作品のためにやっていることですから。

日本における音響効果のツートップ、選曲と効果音。なんとなく違い解っていただけましたか・・・?

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