音楽を100年保存する

選曲について

世の中には様々な音楽があり、いろんな媒体で流通しています。昔はレコードでしたが少し前はCD、今や配信の時代です。

同じメディアが君臨し続けることはありません。常に新しいメディアが生まれ、変化していきます。

では、音楽はどの形で保存するのが良いのでしょう。はじめに結論を言いますが、このメディアに記録しておけば完璧・・・などという答えはありません。どのメディアに記録して保存しても、100年後に満足のいく形で音楽が残っている保証はないのです。

様々な記録媒体

レコード

音楽が記録された最も古いものは「譜面」です。五線紙とは限りませんが、紙に(紙とは限らないが)記録するのが最もシンプルな音楽の保存ですが、これはあくまで設計図なので、録音されて完成された楽曲ではありません。

なので録音を残すという意味での記録メディアの最初はレコードでした。

レコードの良いところは物理的に溝を刻む記録方式ですから、消えることがありません。保存状態をしっかりすれば100年の保存は可能です。

ただしアナログでの記録なので、録音時と再生時で厳密には音が変わります。回転速度やレコードプレーヤーの回路、レコード盤の劣化状態などが原因です。

とはいえ魅力的なメディアであることに変わりはないのですが、個人が気軽に記録できる媒体ではないので(レコードに録音しておくなんてできないので)現実的ではないです。

磁気テープ(アナログ)

アナログ時代の標準的な記録媒体です。一般的にはカセットテープ、プロはオープンテープなど選択枠も多く、気軽に録音できるメリットがあります。

しかし磁気テープはレコード以上に劣化しますし、それとともに音色が激しく変化していきます。またテープに付着させている磁気部分が剥がれていったり、テープ自体も劣化によって切れてしまったりします。レコードと同じように録音時と再生時のテープデッキが違うと音が変わります。

100年後に、録音時と同じ音質の音楽が再生できる可能性は低いですし、そもそもテープデッキが存在していない可能性もあります。

磁気テープ(アナログ)での音楽保存には、どうしても限界があります。

磁気テープ(デジタル)

テープメディアへのデジタル録音は、DATをはじめ、ビデオテープによるPCM録音、同じくビデオテープによるA-DATや8mmテープを使うものもあります。どれをとっても個人レベルで録音ができるハードルの低い記録方法ですが、保存という面ではやはり厳しいものがあります。

そもそも規格が長続きしないので、再生する装置が無くなる可能性が高いのです。録音されたものはデジタル信号なので、多少のテープ劣化でアナログほどのわかりやすい音質変化は無いものの、エラーが頻繁になり、急に音が出なくなる場合があります。磁気テープの劣化の宿命ですね。

DATが登場したときは、これで保存方法は解決したと思ったのですが・・・。

CD

音楽CDです。44.1Khz、16bitでの録音です。音楽CDは100年後も同じ音色で再生できる可能性が高いですし、正直最も確実だと思っています。

ただ!プレスされたCDの場合です。我々が普段コンピューターで作る音楽CDは、CDの表面の薬品をレーザーで加工して記録するのですが、残念ながら劣化します。なので読めなくなる可能性が高いのです。市販されている楽曲CDは物理的に加工したCDなので根本的に違うのです。

物理的な記録ができるCDは、工場でないと無理なので、個人レベルでの記録・保存には適していません。

MO、MD

MOはマグネット・オプチカル・ディスク、MDはミニディスクの略です。

いわゆる光磁気ディスクですね。耐久性は悪くないようですが、ディスクドライブが残っている可能性が薄いので、100年後は期待できない気がします。

私の知り合いもMDに音楽を保存している人が居ましたが、プレーヤーがいつまで生産されるか疑問です。曲にタイトル付ける事ができたり、面白かったんですけどね。ただ規格的に音楽保存ではなく再生用だと思います。

CD-ROM、DVDROMなど

これもライトワンスCDと同じように、劣化で表面を読み込まなく恐れがあるので、100年後まで持つとは思えません。

HDD

ハードディスクです。大容量で記録できる、いま最も現実的な保存方法です。ただご存知のように、HDDが100年間稼働するわけがありません。必ず壊れるでしょう。ただHDDの良いところはデジタルデーターを何回コピーしても音楽は劣化しないので、HDDが潰れそうになったらコピー、またコピーと100年繰り返せば、現状の音楽は100年後聞くことができます。

しかし、いつ壊れるかわからないですし、コピーする前に壊れたらアウトです。

値段も安いので、良い媒体なんですが・・・

USBメモリー・SSD

ハードディスクと違い、物理的な駆動が無いため、壊れるといった心配はありません。が、何度も記録、消去を繰り返すと劣化していきます。つまりエラーが起きやすくなるのです。

しかし、記録・保存専用にして、頻繁に記録・消去を繰り返さなければよいのでは?と考えますよね。それはそれで正しいのですが、残念ながら、長期間の放置によるデータの揮発という問題があります。

つまり100年後にはデーターは消えてしまってるのです。

つまりUSBメモリー・SSDは長期の記録媒体ではないということですね。

まとめ

さてさて、最初に結論を書いたように、音楽を100年間、安心に記録・保存する方法はありません。なにかしらコピーや変換を行いながら進めるしかありません。

ひょっとしたら、私が思いつかないだけで、他にベストな方法があるなら是非教えて下さい。昔から考えてるんだけど、未だ答えが出ないので・・・。

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