Rock編
スポーツ映像、スポーツイベントに欠かせない音楽ジャンルとして”Rock”があります。野球の好プレーシーンやサッカーのゴールシーン、モータースポーツ、マリンスポーツなどテレビ番組でもよく聞くのではないでしょうか。テンションも上がるしノリノリの気分にさせることができますね。
一般的なRockは楽器構成としてGuitar・Bass・DrumsそしてVocalが基本で、それにKeyboardやBrass系などが入ることもあります。ビートは8ビートが多いですが16ビートのものもあります。Rockの中のサブジャンルとしてプログレッシブ・ロックやメタル、サーフロックなど細かく分かれてますが、選曲ちゃんねるの講義として(講義なのか?笑)トータルでRockとして解説していきたいと思います。
市販・配信されているRockは大部分がVocal物で「聞く」ことを前提に作られていますが、選曲で使用するRockは映像やイベントの「テンションを上げる」ことを目的として使用します。ですからVocalは歌詞よりも楽器の一部として捉えます。つまり詩の内容より雰囲気を優先するわけです。とはいえ歌詞を聞いてしまうと「イケイケのシーンになんで別れの歌?」とか「随分暴力的な歌だな」違った印象を与えてしまうことがありますから、Vocal物は避けた方が無難です。そうするとほとんどがGuitarメロになってしまい、使える楽曲がぐーんと減ってしまいます。
さてそんな条件の中どう音楽構成していくか、ここからが選曲の技術になってきます。今回は例として「サッカーのゴールシーン・20分の映像」を想定してみましょう。20分!長っ!と感じますが、そういう映像はザラにあります。
まず避けたほうがよいのは「カッコいいノリノリの曲で20分を1曲でループさせる」事です。どんなにカッコいい曲でも20分ループは飽きます。いやいや私は飽きないと感じても、その映像を見る大勢の視聴者は飽きます。Rockはテンポの速い曲が多いですよね。テンポの速い曲は飽きるのも速いのです。同じRockでもテンポの速い4分の曲とゆったりしたバラードの4分の曲とは時間の感じ方が違います。もちろん音楽の構成にもよりますが、テンポの速い曲は、テンポのゆったりした曲より短く使う事は意識しておきましょう。
では映像を精査して、今回の作品は10曲で構成しようと判断したとします。選曲をするときには曲イメージだけでなく、曲の構成も把握していきます。ポイントはイントロダクション、メロディーの入り方、Bメロ、Çメロといった曲の展開(長く使う場合に重要)、曲の終わり方、そしてテンポです。
1曲目
1曲めはどんな曲が良いのでしょうか。お勧めはイントロが魅力的なノリの良いテンポの良い曲です。イントロから楽曲を使うことで映像の始まり感を演出することができます。さあゴールシーンが始まるぞ!といった印象ですね。そしてノリの良いテンポで映像全体のリズムを提示します。この映像はこんなノリですよ!と教えるわけです。できればメロディーのはっきりした解りやすい曲が良いです。1曲目は視聴者が理解しやすい曲の方が、映像に引き込みやすいからです。
2曲目
2曲目は1曲目に近いノリの曲がお勧めです。例えば1曲目を2分間使ったとして、視聴者はまだまだ飽きずについてこれるからです。この場合、2曲目はイントロをカットしてメロディーから使うのがお勧めです。イントロが入ると仕切り直し感がでてしまい、せっかくのノリが持続しづらいからです。もちろん2曲目のイントロにもよりますが。
3曲目
3曲目はテンポを変えましょう。少し落ち着いたノリの曲がお勧めです。とはいえゆっくりさせたい訳ではないのでビートは細かい方が良いです。1曲目、2曲目が8ビートなら3曲目は16ビートといった具合です。3曲目はイントロから使っても良いと思います。何度も言いますがイントロによりますよ(笑)。
4曲目
4曲目はイントロをカットしたテンポの速い曲がお勧め。バーン!とぶつける感じです。若干解りにくい曲でもOK。勢い優先、ちょっと荒らしても良いと思いますが、長くは使わない前提です。
5曲目
5曲目は1曲目に近い音楽が良いです。聞きやすいノリの良い曲ですね。4曲目で荒らした印象を元に戻すのが目的です。視聴者の感覚をスタート時にもどしてリフレッシュさせます。
6曲目〜9曲目
6曲目〜9曲目、お好きにどうぞ(笑)手を抜いている訳ではありません。もうここまでで充分雰囲気は作ったし視聴者も慣れてきています。多少の冒険も受け入れ体勢はできているからです。短ければ変拍子の曲でも良いですが、続けないことがポイントです。作品全体は同じトーンで構成するといった基本方針は外さないようにしましょう。
10曲目
10曲目はエンディングを意識します。終わり方のカッコよい曲で締めます。できれば解りやすい曲が良いです。最後の曲は印象に残るので難しい曲だとモヤモヤ感を残してしまいます。スッキリ終わりましょう。
構成をまとめてみましょう。10曲の分布は、A・A’・B・C・A・D・A’・C・B・A(E)といった感じでしょうか。同じトーンの映像を全部Rockで構成するなら、1曲1曲順番に決めていくより、最初に構成を考えて音楽を当てはめていく方が全体のトーンを揃えることができますのでお勧めです。
今回の音楽構成は数あるパターンのうちの1つです。これが正解というものではありません。映像構成によっても楽曲によっても、僅かな違いで変わってくるからです。とはいえ選曲を知るうえで少しでも参考になると嬉しいです。
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