選曲の魅力

選曲について

あらためて選曲ってどんな仕事なのかを考えてみましょう。

選曲の知名度

知名度は低い

業界に居ると、選曲って言葉は作曲より多く登場します。殆どの場合テレビの企画であれ、ビデオパッケージの企画であれ、プリプロダクションで登場する「音楽は誰にする?」は「選曲は誰にする?」の事です。作曲家が必要な場合でさえ選曲家を選んだりします。

そんな選曲ですが、一般の知名度は低いのです。ざっくりと音響効果としての認識か、そもそも「選曲って何?」レベルです(涙)ですからブログでアピールしてるんですが・・・

洋画ではMusic Editer

海外の映画でいうとMusic Editerが近いのではないでしょうか。Music Editerは映画のテンプトラック(仮音楽みたいなもの)も作るし、音楽プランにも参加します。当然レコーディングにも参加しますし、実際のダビング作業もMusic Editerの仕事です。

日本の選曲家との一番の違いは、選曲家は譜面を読めなくてもできるって事かな(汗)。Music Editerは読めないと駄目みたい・・・。

選曲の位置

音響監督

ドラマなどの場合、音響監督が立つ場合があり、音響監督の下に、選曲・効果が就くときもありますが、音響監督=選曲の場合もあります。ですから選曲は音響演出の知識も必要です。

音楽担当

ほとんど場合、選曲は音楽監督です。どんなに偉い作曲家でも、立場は選曲家が上なので、しっかりと意見を持つことが大切です(ビビらないように)。ま、逆らったらクビにされるのは選曲家でしょうね(笑)。

選曲の魅力

音楽の仕事

なんと言っても一番の魅力は「音楽の仕事」であるということ。なんだかんだ言っても音楽は良いですよ。仕事に疲れたり行き詰まったりしても、趣味の音楽聞いてリフレッシュするくらいだから、音楽に触れ続ける事は魅力です。

作曲の技術も要らないし、譜面を読む必要もありません。自分の感性で良いと思う音楽を選べば良いのです。編集技術は必要ですが、それほど難しいことではありません・・・たぶん・・・。

作品の音楽を仕切る

依頼された作品の音楽を自分で完成させるのは、達成感があります。それに作品は、どんな形にしろ残るのです。テレビや映画なら名前も残ります。昔「地図に残る仕事」という大成建設の名キャッチコピーがありましたが、自分の名前が残るって嬉しいですよね。

うちの父親は私がこの仕事をするのに反対だったのですが、初めて担当したテレビ番組で、エンドロールに私の名前が載ったとき、しっかりビデオに録って大切に保存してくれていたのを知って、凄く嬉しかった思い出があります。

映像と音楽のシンクロ

映像に音楽を合わせる作業は、いろいろな発見がある作業です。自分で音楽を選んで合わせて、自分で感動するなんてしょっちゅうあります(笑)。もう少し拘りたい、もっとこうしたい!などの思いがこみ上げて、ついつい徹夜・・・ついつい遅刻というヤバい状況にもなりますが、夢中になれる仕事って良いですよね。

選曲の難しさ

音楽素材

ネガティブ・サイドになりますが、自由な選曲がいつもできるわけではありません。使える音楽と使えない音楽があり、使いたい音楽が使えない音楽である場合は多いです。テレビはJASRACとブランケット契約してますから、市販の楽曲はほとんど使えますが、最近は2次使用(DVD販売とか)を考えて市販曲が使えなかったりします。ライブラリーからの選曲も理想を高く持ちすぎると苦しむことになります。

演出の相違

作品にはディレクターというトップが居ますが、意見が合わないとストレスです。基本的にディレクター優先ですが、あきらかに「解ってないな・・・」と感じたとき、合わせるのは苦痛です。どうやって納得してもらうかは、普通に人間関係も絡みますしね。(選曲に限った事では無いですね)

音楽だけでの表現は、趣味嗜好が絡むので難しい場合があります。素晴らしく良いと判断して持ってきた曲をけなされるのは本当に悔しいです。が、それでも作品を仕上げるのが仕事ですから、我慢も必要です。

限られた時間

やはりこれです(笑)。まぁ時間が足りない。選曲の作業はスタジオMIX前の作業ですから、映像の編集待ちになることが多いのです。スタジオの開始時間は決まっているのに映像の編集あがりの時間はランダムです。映像があがって1時間作品なら1時間見て、構成を考え、尺をとり、選曲を始める。前日の夜映像をもらい、朝10時からのスタジオ入りなら、徹夜しろ!って言われているようなものです。

昔は映像編集も編集室でやってましたから、編集技師や助手、プロデューサーも居て、時間に追われていたので今よりはマシでしたが(編集を押したらプロデューサーがスケジュールを調整してくれる場合もあった)、今はディレクターが自宅で編集したりします。映像があがらないどころか、スタジオ開始時間にも映像が無くて、ナレーションだけ映像なしで録るような事態もたまーにあります。もう音楽構成なんて考える余裕さえありません(ま、それならそうで割り切りますが)。

と、自分ではどうにもならない時間には、いつも追われている気がします。

選曲してみよう

さて、選曲の仕事はしてないけれど、興味はあるなぁと感じた人へのアドバイスです。

AI

最近は、写真や動画にAIが勝手に選曲して、それなりの見せ方をしてくれたりしますが、やはり自分でやるのが一番です。今の時代、個人で選曲を体験する環境は整ってますから、気軽にできますよね。いろいろ試して、選曲に興味が湧いたら次のステップ。

Youtubeにアップ

Youtubeに選曲した映像をあげて、評価してもらいましょう。実は誰かに見せる事が大切です。選曲の仕事は視聴者に音楽で伝える事です。いろんな意見を聞くことも、もちろん大切ですが、こう見てもらいたい、こう感じ取って欲しいという気持ちを乗せる事が大切です。自分に合ってると思ったら仕事にしましょう。

募集はある?

選曲家になるには、基本的に求人を探すことになります。ポストプロダクションがたまに募集しますから見逃さないことです。最初からフリーの選曲家はまず無理です(バブルの頃はできたけど)。仕事の流れや常識も身に付けないといけないから、どこかの会社に入るのがベストです。

というわけで、選曲という仕事をもっともっと知っていただきたいので、これからも発信していきます!

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