音響効果には音楽と効果音がありますが、効果音では難しいことの一つに国の表現があります。例えばアメリカを表現するとき、効果音でできるのは、せいぜい英会話の雑踏を付けること。だけど英語の国はイギリスもオーストラリアもありますし、視聴者に伝わるのは海外なのかな?くらいです。英語でも方言やスラングでわかるだろうって?わかる人は一部だし、そもそも付ける側がわかりません(笑)。だけど音楽なら「星条旗よ永遠なれ」を付るだけで、あー、アメリカなんだな・・と伝わるわけです。
アメリカは比較的簡単です。先程の「星条旗よ永遠なれ」は国歌ですから100%アメリカですが、アメリカの田舎町ならカントリー・ミュージック、ニューオーリンズの港ならデキシーランド・ジャズ、ハワイならハワイアンのように特色がはっきりしてるし、日本人にも馴染みがあるから理解されやすいですね。
ヨーロッパはどうでしょう。伝えやすいのはフランス、スペイン、イタリア、スイスでしょうか。フランスは国歌「ラ・マルセイエーズ」は有名ですし、シャンソンや、アコーディオンで三拍子の曲を付けると、なんとなく「パリ?」ってなりますよね。スペインならフラメンコ(ポイントはギターとカスタネット)、イタリアならカンツォーネ(オー・ソレ・ミオのような旋律とマンドリン)、スイスはヨーデル(アルプスの少女ハイジ的な)を付ければだいたい伝わります。もちろんそれ以外の音楽もあるのですが、要は馴染みの問題で、ある程度刷り込まれた音楽を使うとわかりやすいのです。だから同じヨーロッパでもデンマークとかノルウェーとか、日本人として音楽に馴染みが薄いと表現が難しいのです。
アジアだと中国は簡単だけど、韓国は難しいですね。中国は旋律も特徴的だし、楽器も二胡やドラなど、聞いた瞬間に「中国」とイメージできますが、韓国を表すのにK-Popというわけにはいきません(歴史物ならとくに)。
アフリカになると、さすがに国単位での表現は難しいです。6/8拍子のパーカッションで一般的に刷り込まれているアフリカのイメージに頼るしかありません。しかもその音楽が正しいアフリカの楽曲なのかどうかもわかりません(もちろん調べますけどね)。
海外の作品で日本を紹介する場面では、よく琴や尺八の音楽が流れたりします。それは良いですよね、日本の楽器だし。だけど旋律が中国風だったり、琵琶のつもりでシタール使ったり(インドか!)すると、なんか違うって感じちゃいますよね。たぶん私も他の国の人に「全然違う」と思われているのかも知れません。
この前仕事でイランを表現する場面があったのですが、個人的によく知らないので調べまくりました、が、権利をクリアしたイラン風音楽が見つからず、結局どこの国のものでもない環境音楽を付けました。たぶん「全然違う!」と感じられたでしょうね・・・力不足ですみませんでした。
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