ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日

勝手にレビュー

2012年公開・監督:アン・リー 主演:スラージ・シャルマ 音楽:マイケル・ダナ

素晴らしい映像美

主人公が語る人生を変えた体験、信じるか信じないかはあなた次第・・・というお話。

あ、ざっくりまとめてしまいましたが、もっと深い話です。

動物園を経営していたが動乱を避けて日本の貨物船でカナダへ向かう。ところが航海の途中マリアナ海溝で嵐にあい船は沈没してしまう。偶然にも脱出した主人公の少年のボートにたどり着いたのは、動物たちとリチャード・パーカーと名付けられた虎だった。

弱肉強食の世界が小さなボートで繰り広げられる。そして残るのは少年と虎。

実写とCGの組み合わせが実にリアルで、動物たちも本物のように見えます。また幻想的なシーンは実に美しく、実際にこんな情景があるなら見てみたい。

生きるための厳しい現実と、普段は体験できない出来事の連続。1人と1匹はどうなるのか。

2つの話

そして最後に主人公は2つ目の話をします・・・この映画を深く複雑にしている部分です。

IMAX3D

映画が公開された2013年、この「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」はIMAXシアターで3D上映されました。この頃ってやたら3Dが多かったんですよね。私も3Dで見ました。

この映画は3D向きと言えば向きですが、3Dでなくても充分素晴らしい作品です。

サウンドトラック

2013年度アカデミー作曲賞受賞

音楽はマイケル・ダナ、数多くの映画音楽を担当しています。

この映画、今の時代にしては珍しくメインタイトルがあります。サントラ盤にメインタイトルっていう表記はないですが。

インドが舞台なのでシタールなどの楽器も入るのですが、全体的にゆったりとした音楽で、同じ映画音楽の作曲家ジョン・バリーの音楽みたいに感じました。

幻想的な音楽で作品の統一感を出しているので、例えば船の沈没シーンは効果音のみで音楽は入りません。音楽で危機感を煽ることはしないのです。こういうスタイルが成功した映画音楽と言えるでしょう。

マニュアルを読むシーンはインド風パーカッションの、少しコミカルな曲。というか、真面目な曲なんだけど、シーンとの組み合わせでコミカルに聞こえます。

クライマックスの嵐のシーンは雄大に、生き方を歌うような音楽とコーラス。生と死の厳しさまでもゆったりした音楽です。実に悲しくて感動的。

2つ目の話の音楽はうつろなコーラスの音楽です。うつろって言葉が合う音楽です。現実なのか嘘なのか、どちらにしてもこんな話は寂しい・・・そんな印象を与えます。

そしてエンディングは虎との旅を思い出させる明るめな曲。インド的な部分もありますが、踊ったりはしませんよ、インド映画じゃないんだから(笑)。

総括

うちは猫を飼っていますが、この映画の虎はうちの猫を見てるようで切なくなるんですよね。CGとはいえ感情移入してしまうんですよ、ずるいですよね(笑)。

あくまで映画だから、こんな人間と動物の関係はフィクションだけど、こういう世界は一つの理想でもあります。

終わり方が素直じゃないのは今の社会を反映してます。良くも悪くも今の社会は知りたがる・・・真実ではなく、腑に落ちる答えをね。


ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 (字幕版)


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