ブラックパンサー

勝手にレビュー

2018年公開・監督:ライアン・クーグラー 主演:チャドウィック・ボーズマン 音楽:ルドウィグ・ゴランソン

マーベル・スタジオ作品

今やディズニーの傘下のマーベル・スタジオが制作した、一連のスーパーヒーローシリーズ。

マーベルと言えば「アイアンマン」が有名ですが、ヒーロー大集合のアベンジャーズもあり、このブラックパンサーも出てますが、ブラックパンサー初の単独作品がこの「ブラックパンサー」です。

主役のチャドウィック・ボーズマンをはじめ、主要なキャストは黒人がほとんどで、この映画の監督も黒人です。ブラックパンサー(黒豹)のブラックも黒人だからかな?と思いますが、それはよくわかりません。

とにかくマーベル・スタジオのヒーロー作品で最もヒットした作品になりました。2019年度アカデミー賞でも7部門にノミネートされるという、ヒーロー映画とは思えぬ評価を受けています。

舞台はアフリカ

「ブラックパンサー」の舞台はアフリカのワカンダという国(もちろん架空)で、主人公はアフリカ人です。昔、ワカンダに隕石が落ちてきて、その隕石に含まれるヴィブラニウムという鉱石によって、科学が発展し、最先端国家なのだけれども、表向きはアフリカの自然豊かな小国と見せかけることによって、国の秘密を守っているという設定です。

もの凄く民族色を出しているのですが、正直ちょっとステレオタイプな感じもしなくはないです。もしこの作品が日本を舞台にしたヒーローものなら、登場人物はみんな侍や商人の格好をして琴や三味線で踊っている・・・みたいな印象でしょうか。極端な感じもしますが、わかり易さという意味では良いのかも知れませんね。

最先端の国ですが、王位継承の儀式は生身の戦いで、勝ったほうが国王という太古のルールを守っていて、だからこそ事件がおきるという、新旧折衷な国です。ほんと極端な国です(笑)。

正直、他のヒーロー作品に比べて何が凄いのかよくわかりません・・・作品賞の候補というのも、どうもよくわかりません。普通に楽しく見られる作品です。そういう意味では良い映画ですね。

サウンドトラック

音楽:ルドウィグ・ゴランソン

この「ブラックパンサー」では、2019年度のアカデミー作曲賞を受賞しました。

基本的にオーケストラの楽曲ですが、最近のこの手の映画音楽に多い、オーケストラとリズム、シンセサイザーのミクスチャー音楽です。オーケストラも生演奏なのでしょうが、打ち込みでも行けそうな感じです(弦中心の曲以外)。戦闘シーンの音楽はずーーーとベースにアフリカ系リズムが鳴っています。かっこよく言えばアフリカ系リズムとオーケストラの融合ですが、融合ってほどの一体感は感じません。むしろアフリカ系リズムが効果音のように聞こえるので、劇伴としてのオーケストラが別物とさえ思えます。

そのアフリカ系リズムですが、打ち込み感が強く、私には耳障り・・・グルーブ感とかあまり感じません。パワー系ですかね。映画音楽として悪くはないけど、新しさも感じないし、まぁこんなもんかと言った印象でした。(アカデミー作曲賞を受賞した音楽に酷い言い方で申し訳ありません。)

ついでに言えばサントラ盤のミックスもあまり好きじゃない。大味でリズムと声のレベルが大きすぎて、かえってスケールの小さな音楽になった気がします。このミックスの傾向は「テネット」でも感じたから、ルドウィグ・ゴランソンの個性なのでしょう。

ただオーケストラのジャジャジャ・ジャジャジャのリズムは良かった。シンプルだけど、ありそうでない、エスニックな表現ができてると思いました。こういう試みをもっとやって欲しかったなぁ。

音楽のルドウィグ・ゴランソンはスウェーデン出身で、まだ映画音楽は少なめですが、「ブラックパンサー」の監督、ライアン・クーグラーとは2回目のタッグだし、最新作は「テネット」だし、今後も活躍しそうな作曲家です。そう言えば舞台のアフリカとスウェーデンは真逆な印象ですが、彼の感じるアフリカはこんな印象なんですね。

総括

ごめんなさい、アカデミー賞ノミネート7部門、作曲賞・美術賞・衣装デザイン賞受賞(美術賞・衣装デザイン賞は解らないでもない)ってこの程度かと思ってしまいました。いやいやハードルを上げすぎたのでしょう。普通に見れば普通におもしろいのにね。

それから主演のチャドウィック・ボーズマン、2020年に亡くなってるんです。しかしこの「ブラックパンサー」の続編は2022年に同じライアン・クーグラー監督で制作されるそうです。主演が変わるのはかなりイメージ変わりますが大丈夫なのでしょうか。

とはいえ、大ヒットしたわけですから作りたいんでしょうねぇ。おそらく音楽も同じルドウィグ・ゴランソンでしょう(作曲賞受賞だし)。次回はどうなりますか、楽しみですね。

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