テープ編集こぼれ話

雑談

テープ編集という言葉自体がアナログですが、アナログ時代は選曲作業にもドラマがありました。そんな時代のエピソードを紹介しましょう。

エピソード1:突然異世界に・・・

テープ編集はオープンリール(ロクミリ)に録音した音楽を編集する作業のことですが、この編集作業はハサミで切ってテープで貼り付ける「切り貼り作業」です。切り取るということはゴミもでます。テープ編集の後の足元は切り刻まれたテープのゴミでいっぱいです。ですから絶対使うテープは切り取ったあと取っておきます。で、編集作業が終わり、取っておいたテープを貼り直し「お待たせしました、お願いします」と声をかけ音楽をスタート。ところが・・・文字だけで表現すると・・・

ズンチャ、ズンチャ、ズンチャ、ズンチャ、ャチンズ、ャチンズ、ズンチャ、ズンチャ♫・・・

あれ?なんじゃこりゃ、途中に異世界の音楽が!・・・はい、原因はテープを逆さまに貼ってしまったんですねぇ。そんなアホなと思うのですが選曲家なら誰しも一度は経験したことがあります(笑)。これフロントの大きなスピーカーから流れると、かなり恥ずかしいです。

エピソード2:Undoなんか無い・・・

編集作業は頭の中で完成形をイメージしつつ編集点を探し出し、編集した後は音楽の長さが正しいか、ストップウォッチで計りながら再生します。とはいえ人間だから失敗することもあります。「しまった!切りすぎた!」と思ったら足元のテープのゴミの中から拾い上げて貼ります。不思議なもので、どういう順番で切り落としていったか覚えてるし、新しいゴミが一番上にあるので比較的見つかります。が、意図しない編集やり直しの場合は別です。例えばディレクターに「ごめん、やっぱり音楽、次のカットまで伸ばしてくれる?」なんて言われると「わかりました」と言いつつ、足元のテープのゴミをあさります。だけど、つなぎ込んで再生しないとわかりません。時間をかけてやっと見つけて、いざ聞いてみると途中で♫もぐぅぁあ♫と音が歪む・・・いつの間にかテープを踏んで折り目がついちゃったんですねぇ。はい、やり直しです。

エピソード3:耐久性オーバー・・・

古いスタジオには古い機材があるものです。テープデッキもめっちゃ頑丈で重そうなものもあります。しっかりしているのは良いのですが、たまにテンションがキツく重いデッキがあります。テープ編集はテープを手で引っ張り出し、編集点を見つけます。ですからテンションが重いデッキは要注意。そーっと引っ張ったり、リール部分を回してフォローしたりします。ところが編集作業に没頭したり、時間的に焦ったりすると、つい自分のデッキのつもりでぐいっ!と引っ張ります。するとテープがムニュっと伸びて、丸まってしまいます。そうなるともうアウトです、音楽コピーからやり直しです。「こんなデッキ置いてんじゃねーよ!」と心で叫ぶことになります(笑)。

アナログ時代ならではのエピソード、まだまだありますが、それは「テープ編集こぼれ話パート2」で。

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