ゾンビ

勝手にレビュー

1979年公開・監督:ジョージ・A・ロメロ 主演:ケン・フォリー他 音楽:ゴブリン

ゾンビ映画の元祖

この映画が劇場公開されたとき、ポスターを見て「こんなグロい映画は一生見ることはないだろう」と、マジで思っていました。死者が生き返って人間を喰う映画なんて見たいですか?そもそもホラー映画が苦手なのに、スプラッター要素まで入った「ゾンビ」は私にとって不快であり、楽しめない映画にお金を払うなんて考えられませんでした。

でも結局見ました。最初に見たのはこの仕事を始めた頃で、当時の事務所でレンタルビデオを借りて社員達と見ました。で、感想は・・・

面白い!でした。いやいや確かにグロい映画でしたよ、でも中身がある。ただのホラー映画とはちょっと違うと感じました。そんな「ゾンビ」をレビューします。

Dawn of the Dead

「ゾンビ」はアメリカ映画「Dawn of the Dead」のアメリカ以外の国のタイトルです。イタリアの有名なホラー映画監督、ダリオ・アルジェント(サスペリアが有名)が制作に加わったことで、世界的に有名な映画になりました。

そもそも「Dawn of the Dead」は前作「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 」(1968)、次作「死霊のえじき」 (1985)「ランド・オブ・ザ・デッド」(2005)へと続いていく”リビングデッド・シリーズ”で、特に最初の3部作は、タイトルも”夜”・”夜明け”・”昼”と連続しています。その2作目が「ゾンビ」なのです。

怖いのはゾンビより人間

このジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」シリーズのゾンビは、ただただ人間の肉を求めてさまよう危険なファクターであり、それ以上でも以下でも無いのです。防ぐことは可能なのです。しかし、結局人間は自分たちの欲や疑念によって自滅するのです。

見た目以上に深く、哲学を感じる映画なのです。お薦めします。

バージョン

この「ゾンビ」には米国公開バージョン、ダリオ・アルジェント監修バージョン、ディレクターズ・カットがあり、それ以外にも日本でオンエアされた時の日本編集バージョンもありますが、それはどうでも良いです。

注目すべきは、米国公開バージョンとダリオ・アルジェント監修バージョンです。この2つには様々、細かい違いがあり、それぞれ比べて見るのも面白いですが、このブログで取り上げたということは・・・・

サウンドトラック

音楽:ゴブリン

ゴブリンはイタリアのプログレッシブ・ロック・バンドです。ゴブリンは他にも「サスペリア」「サスペリアPART2」などの音楽も担当しています。

ちなみにちょっと話題はズレますが、「サスペリア」「サスペリアPART2」は、「サスペリアPART2」の方が先にできた映画で、「サスペリア」が日本でヒットしたので、それ以前に作ってあった映画に「サスペリアPART2」のタイトルを付けて日本で公開しました。正直当時の映画配給会社は映画や映画監督を舐めてるよね。今の時代じゃ許されないよ。

話を元に戻すと、音楽:ゴブリンは、たしかにそうなんだけど、ダリオ・アルジェント監修バージョンの音楽がゴブリンなのです。ちゃんとサントラ盤も出ています。

とにかくカッコいい

このゴブリンの音楽は、とにかくカッコいい。いわゆるメインテーマは凄い変拍子で、聞いた瞬間にはよく解らないリズムです。文字におこすと

♫ダダダダ・・・ダダダ・・・・ダダダ・ダダダ・

というリズムの繰り返しです。ちょっと違うけど「ゴジラ」のテーマの繰り返しに通じるものがあります。フレーズの始まりと終わりがわかりにくいのです。どこでループしてるんだ?といった感じです。

あと、映画「AKIRA」の音楽のパーカッションでお馴染みの?”ジェゴグ”みたいリズムが流れますが、これが良いんですね、というか「AKIRA」に似てるな・・・あらためて思った。

それ以外もロック・バンドとしては演奏能力が高く、基本的にインストルメンタルなのですが、ラグタイム風の曲、怖い曲、不思議な曲など意外にバラエティーな音楽です。

米国公開バージョンの音楽

先程、ダリオ・アルジェント監修バージョンの音楽がゴブリンと書きましたが、米国公開バージョンの音楽は違うのでしょうか・・・。

違うんです!

米国公開バージョンの音楽はなんと「選曲」です。ライブラリー音楽からの選曲なのです。音楽担当として作曲家は参加していません。さすがに誰が選曲したかまでは調べていないのですが、今度機会があればエンドクレジットを確認しておきます。

その「ゾンビ」で押さえておきたい音楽が、スーパーマーケットで流れる明るいKIDSなイメージのBGM。おそらくこの曲も選曲ですが、続編の「死霊のえじき」で一瞬流れます。「死霊のえじき」の音楽はジョン・ハリソン、ちゃんとかる~くアレンジして使っています。つまり意味があるって事です。「ゾンビ」と「死霊のえじき」、登場人物につながりは一切ありませんが、シリーズとしてつながってるんだぞ!という監督の拘りなんでしょうね。

この音楽、気づけて良かった〜。音楽を仕事にしているだけに嬉しい。

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