ソウルフル・ワールド

勝手にレビュー

2020年公開・監督:ピート・ドクター 音楽:トレント・レズナー、アッティカス・ロス、ジョン・バティステ

最近ブログのネタに困ってたのでレビューを書こうと・・・どうせなら2021年のアカデミー作曲賞をとった作品を見てみようと調べたら、「ソウルフル・ワールド」ディズニーのアニメーションでした。

見て良かった!!!

きらめきを見つけた(笑)。よくできた映画でした。

ピクサー作品

ピクサーの作品では「ミスター・インクレディブル」が好きで、続編の「インクレディブル・ファミリー」も当然見ました。しかし今回の「ソウルフル・ワールド」は全然系統の違う、不思議な感覚の映画です。

主人公は中学校で音楽を教える、ジャズが大好きな先生。教え子から連絡があり、念願のジャズのライブをすることになるのだが、まさかの出来事で、まさかの世界に・・・・。そこで出会った22番と、ライブ出演を果たすために現実世界に戻るのだが・・・。

舞台は現世と、あっちの世界の2箇所。映像表現がぜんぜん違う世界なのもアニメーションならではの描き方で素晴らしい。

この作品には音楽が要素として出てきますが、「ソウルフル・ワールド」のソウルは音楽のソウルではなく魂という意味のソウルですね。だけど凄く自然な・・・普段を見つめ直す、心の目を感じる事がテーマになってる、しみわたる話です。ちっとも野暮ったくない見せ方にセンスを感じます。

サウンドトラック

出だしから、ヘッタクソな星に願いをが流れるんだけど、これがまた良いんですね〜

音楽担当

基本的な作曲はシンセ系劇伴がトレント・レズナーとアッティカス・ロス、ジャズ系がジョン・バティステです。音楽担当を分けたことで、現世とあっちの世界の棲み分けが解りやすくなっています。

シンクロが凄すぎる!

主人公がジャズ・ピアニストなので演奏シーンも出てくるのですが、演奏や楽器の質感もだけど、映像と音楽のシンクロ具合が素晴らしすぎる。

音楽が先で映像を合わせてるんだろうけど(いや、実際の演奏を上書きしているのか?)まるで本当に演奏しているような仕上がりです。こんなの真似できないレベル・・・ホント凄い。

ピアノだけじゃなく、サックス、ドラムス、トロンボーンまで、実にリアル。音質も距離感も全く違和感なし。このシーンだけでも見る価値があります。

あっちの世界

あっちの世界(サントラ盤のタイトルも、あっちの世界と書いてある)の音楽は、一転してシンセサイザー中心のミニマル的な環境音楽。不思議な音楽です。でも暗くない、とても印象は良いです。といってただフワフワしているわけではありません。ところどころ映像の展開に応じて、音楽も変わります。

ニューエイジ風ですが、昔のニューエイジではなく今の感覚のニューエイジ音楽です。

とにかく映像も音楽もしっかり現世とあっちの世界が分かれているんだけど、たまに交じるんです。その混じり方のセンスの良さは流石。これぞ映画音楽という意識もちゃんと入っています。

意外にバラエティー

この作品に出てくる曲は、ジャズと環境音楽の2トップを中心に、フォーク風、ラップ風、80年代風(レクチャービデオのBGMはまさに80年代風の音楽で、選曲仕事していると、懐かしさで微笑みました。)などいろいろ出てきますが、実に面白いし、現世に流れるピアノのニューエイジ風な曲は、シーンとも絡んで涙ぐむ素晴らしい曲でした。

総括すると

プロの仕事

私ごときが言うのもおこがましいですが、完全にプロフェッショナルの仕事です。Youtubeやテレビのバラエティーばかり見ている私には、目からウロコ状態でした。

とにかく何も真似できないほどレベルが高い・・・凄いアニメーションです。映像美はもちろんのこと、動きや表現、音響デザイン、センス・・・全然届かなくて、ちょっと寂しい気分になります。

最近の傾向として、音楽も演奏録音で完結するのではなく、演奏録音すら素材とする音楽の作り方です。ですから音楽の構成も譜面にはできません。複雑すぎるのです。

こういった音楽制作は実は昔もありました。80年代初頭のミニマル音楽時代にもやってましたが、この「ソウルフル・ワールド」は、あきらかに洗練されています。でもちゃんとジャズや歌唱曲なども自然にまざってサントラ盤としては、それだけで映画の世界を表現しています。

エンドテロップには、吹替版で見ると日本人の歌も入るのでいいですよ(JUJUが歌ってるよ!凄く良い曲ですよ)。

2021年度アカデミー作曲賞受賞

最後になりましたが、2021年度アカデミー作曲賞受賞作品ですから(笑)。

いやー、見てほんと良かった。

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