スラムドッグ$ミリオネア

勝手にレビュー

2008年公開・監督:ダニー・ボイル 主演:デーヴ・パテール 音楽:A・R・ラフマーン

スラムとミリオネア

日本でもオンエアされていたクイズ番組「クイズ$ミリオネア」、そのクイズ番組でインドのスラム出身の主人公が全問正解し大金持ちになるお話。並行してイカサマ疑惑で警察に捕まり水攻めや電気ショックを受け、なぜ正解できたか尋問される。その尋問のなかで、凄まじい過去を生きてきた中で出会ってきた正解へのヒントが明かされていく。

日本に居ると理解し難い、インドのスラムの現状や差別、子どもたちが生きるための盗みや騙しなどが描かれ、とても気持ちが落ち込みます。よく生きていけるなと・・・。だからこそ、人々はミリオネアを夢見て番組にかけるのだが、主人公は別の目的で番組に登場したのでした。

主人公と兄、ヒロインの3人は少年期、青年期、現代と、それぞれ別の3人が演じていますが、少年期の子役が凄く良い演技です。屈折したスラムの中で、めっちゃ元気な少年時代を演じています。

映画だから、実際のクイズ番組と違い、台本があるはずなのに、ラストの問題で正解か否かのシーンは意外にドキドキします(笑)。そして盛り上がります。本当にクイズ番組を見ている気持ちにも、少しなれます。

サウンドトラック

音楽:A・R・ラフマーン

2009年度アカデミー作曲賞を受賞した作品です。作曲家のA・R・ラフマーンはインドの作曲家で、この映画にはピッタリの人選だったのでしょう。このA・R・ラフマーン以外にも参加した音楽家は居るようですが、音楽監督ということでしょうか。

全体にインド的な音楽性を表に出した劇伴となっていて、音楽でインドの印象をたっぷり表現しています。とはいえ、伝統的なインド音楽というより今風な・・・デジタルなインド音楽でヴォーカルやスキャットなど声を多用した音楽作りになっています。

映画音楽的ではありません、どちらかというとプロモーションビデオ的な音楽の付け方で、音楽の入るシーンは独立している印象です。ただ映画自体の作りが過去とのカットバックであったり、いろんなエピソードを散りばめているので、劇伴的な作りよりシーンが引き立つのかも知れません。

その中で共通したスキャットを中心とした、エンヤ風バラードがが何度か流れますが、昔で言う愛のテーマで、主人公とヒロインとの関係を情緒的に奏でます。他の音楽がリズム中心のエスノポップなので、カレー料理の中のミネラルウォーターの様にリフレッシュできます。

個性的でインドをうまく表現したことがアカデミー作曲賞につながったのだと思いますが、個人的に残念なのが、正解した後の全インドが喜びで盛り上がるところの音楽・・・。うーん、ちょっとなぁ〜。悪くはないけど当たり前過ぎて、せっかくの全体のトーンから外れている感じがしました。

総括

インド映画と言えば歌と踊り。この映画もエンドクレジットで全員の踊りが見れます(イギリス映画なんですけどね)。

不思議ですよね、なぜインド映画は歌と踊りなのでしょうか・・・。


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