シェイプ・オブ・ウォーター

勝手にレビュー

2017年公開・監督:ギレルモ・デル・トロ 主演:サリー・ホーキンス 音楽:アレクサンドル・デスプラ

2018年度アカデミー作品賞を受賞したファンタジー。ファンタジーと言ってもR指定ですからご用心、過激なシーンもありますよ。1962年のアメリカという設定だけど、もっと古い時代に見えます。捕らえられて研究所につれてこられた半魚人と、言葉が話せない女性・イライザとの恋愛物語です。

捕らえた半魚人に指を切られ恨みを持つ警備担当者。その担当者に虐待を受ける半魚人。主人公のイライザは救う事を決意しますが、言葉が話せないので手話です。半魚人も言葉が話せないので同じ境遇という結びつきもあるのですが、大きな組織から半魚人を救ことができるのでしょうか。こういう映画に出てくる悪人はとことん悪人で、だから薄気味悪い半魚人に感情移入してしまうのです。

ギレルモ・デル・トロ監督と言えば「パシフィック・リム」のイメージですが、途中にモノクロの半魚人とイライザのダンスシーンも入ったり、手話で会話したり。なんともロマンチックな映画を作ったものです。てか、デル・トロ監督、そんなにロマンチストだったんだ(笑)

サウンドトラック

音楽:アレクサンドル・デスプラ

フランスの作曲家。このブログで紹介した「すばらしき映画音楽たち」にも出演していました。

アカデミー作曲賞

「シェイプ・オブ・ウォーター」の音楽は2018年度アカデミー作曲賞を受賞しました。

劇伴はとにかく6/8や3/4など、3拍子系が多いです。導入から6/8の音楽、3拍子の音楽、研究所のBGMさえワルツです。それ以外も半魚人を救い出すアクティブなシーンもそうです。とにかく3拍子が多い、フランスの作曲家だからでしょうか(笑)というより水の物語なので、3拍子が合います。個人的に海や水中は3拍子なのでバッチリです。またコード進行もフランス音楽的なところもあり、個性が出ているなぁと思いました。

導入のイライザを見せるシーン、バスに乗っている場面で劇伴に合わせて口笛を吹くのですが、シンクロもバッチリ。この音楽が流れてからかなり後に口笛を吹くのですが、ちゃんと計算しないと難しいです。口笛までの編集も計算しないと行けないし、なかなか監督もやるなぁ。

ヒーロー作品のようなパーカッションや、攻撃的なブラスは出てきません。たしかに戦いシーンは無いので必要ないと言えば無いのですが、おそらく他の作曲家なら書いてると思います。あえて書かないあたり、イメージを監督と話し合って固めたのでしょうね。

全体にロマンチックな音楽で、アメリカ映画のこのジャンルにしては異質で、それがアカデミー作曲賞を受賞した要因かもしれませんね。

総括

1991年に「ロケッティア」という映画がありましたが、時代設定は1938年。この「シェイプ・オブ・ウォーター」は1962年、ぜんぜん違うのですが、なんか似ているんですよね。1962年は日本では「ALWAYS 三丁目の夕日」の時代です。

こういう時代設定の映画は良いですよね、知らないはずなのに懐かしさがあって。セットだけ見てても飽きないです。

映画の印象はR指定のディズニー映画です(笑)。

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