ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

勝手にレビュー

2019年公開・監督:マイケル・ドハティ 主演:カイル・チャンドラー 音楽:ベアー・マクレアリー

1954年から始まった

1954年はどんな年?

1954年(昭和29年)は日本の映画史上に残る年です。日本を代表する黒澤明が監督し、これまた日本を代表する映画「七人の侍」が公開されました。海外では日本映画の第一位は「七人の侍」ですからね。そしてこの年、もう一つの日本を代表する映画が公開されています。そう「ゴジラ」です。

第1作のゴジラは監督:本多猪四郎 主演:宝田明 そして音楽は伊福部昭。もう67年も前の話です。さすがに私は生まれていないのでリアルタイムではこの映画を見ていませんが、当時は大ヒットしたようです。あまりの大ヒットに6ヶ月後に第2作の「ゴジラの逆襲」が公開されたくらいですからね。6ヶ月後ですよ、凄いですよね。

海外の反応

さてさて、この「ゴジラ」は海外でも話題となり、アメリカでは「怪獣王ゴジラ」としてアメリカ人を主人公にして再撮影・再編集されて公開されています。つまり今から65年前に、もう海外版ゴジラは存在していたのです。「ゴジラ」は1954年の作品で、当時はまだ戦後9年ですから、日本人は痩せている人が多いのですが、海外版の「怪獣王ゴジラ」に登場する日本人は太ってるんですよ。当時の日本とアメリカの暮らしの差を感じました。そしてこの海外版「怪獣王ゴジラ」のアメリカでの公開タイトル、それが「Godzilla, King of the Monsters!」です。そうなんです、今回取り上げた映画「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」原題「Godzilla: King of the Monsters」と同じなんですね。

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

この「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」は、タイトルこそ同じですが、65年前の映画「怪獣王ゴジラ」のリメイクでは無く、どちらかといえば日本版ゴジラシリーズの「怪獣大戦争」みたいな内容です(X星人は出てきません)。なのでモスラ、ラドン、キングギドラが出てきます。私は小学校のとき東宝チャンピオンまつりでゴジラ映画を見てましたが、まさかハリウッドの超大作でオールCGのゴジラ、モスラ、ラドン、キングギドラを見ることになるとは想像もしてませんでした。感慨深いといえば感慨深いのですが、なんとも複雑ですねぇ。当時の着ぐるみや操演で表現した怪獣たちに比べて、CGの怪獣たちは比べ物にならない、圧倒的なリアルさとパワーがあります。今の人達は100%ハリウッド支持だと思いますが、私が思うに、子供の頃に感じた怪獣への怖さや、街並みが破壊されていく驚きと喪失感、トラウマになりそうな要素が無いんですよね。たぶん凄すぎるんだと思います。見えすぎるんだと思います。どんなに美味しいラーメンも量が多すぎたら魅力半減です(あまり良い例ではありませんが・・・)。サービス過剰で、本当に感じたいものが感じられないですよね。いやいや否定している訳ではありません。たぶん続編の「ゴジラvsコング」も見に行くし・・・。

サウンドトラック

ゴジラ音楽との親和性

さてさて音楽ですが、音楽担当のベアー・マクレアリーはよく知りません。が、従来のゴジラ系音楽との融合を試みていることはよくわかりました。あの有名な「ゴジラ」の曲や「モスラ」の曲も、モチーフとして出てきます。たしか1998年のローランド・エメリッヒ版「ゴジラ」には一切使われず、東宝の方から楽曲使用は断られたという噂を聞きました(事実かどうかは知りません)。音楽のデヴィッド・アーノルドは頑張ってましたけどね。そういう意味でも今回の「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」は音楽面でも日本の「ゴジラ」と親和性があります。日本の「ゴジラ」を元に我々は映画を作っているんだという主張を堂々としているんですね。「ゴジラ」の音楽、伊福部昭さんは無骨なまでに主旋律を太く、重く、ゆったりと表現していました。着ぐるみという映像表現しかなかった当時のゴジラを音楽面で見事にリアルに印象つけたんですね。映像が無くても音楽だけでゴジラを感じます。しかしCGのゴジラは動きも機敏だし、アクションは派手だし、音楽も変わらざるを得ないんですね。映像表現に付いていくのがやっと、といった音楽の印象でした。正直音楽の重要性が薄れてましたが、だからこそゴジラやモスラのモチーフを取り入れることで主張したんでしょう。

日本を意識?

映画の最後にかかる曲は「ソレソレソレソレ!」「ゴ・ジ・ラ」とお祭りみたいな曲でしたが、これは日本人へのサービス?(笑)。メイキング映像を見ると、ぱっぴを着た日本人(でしょ?たぶん)が並んで声を発していますが、ぱっぴ着る必要ある?おそらくメイキング映像ようビジュアルですね、オーケストラの演奏家は私服ですしね。

ゴジラのテーマは、ゴジラの為のオリジナルではない

と、誕生から67年。今では世界のゴジラになりましたが、伊福部昭先生の「ゴジラ」の曲、例のジャジャジャン・ジャジャジャン・ジャジャジャジャジャジャジャジャジャンの変拍子の曲、元々は1948年の松竹映画「社長と女店員」のテーマとして使ってるんですよね。まさかこんなに有名になるとは想像もしてなかったんでしょう。もー、伊福部先生、たしかにご自身の音楽ですけど今じゃ世界の「ゴジラ」の音楽ですよ・・・そんな過去があったなんて知りたくなかったなぁ〜(笑)。

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